『修行道の三要素』 ダライ・ラマ法王東京法話の概要 (1)

東京講演のメモです。あくまでも概要で、よく聞こえなかった部分(会場のマイクの音質の設定が今ひとつだったような?)や用語などは、自分の判断で編集しながらまとめているので、間違いだらけと思います。

正確な講演録を知りたいかたはぜひ、後日発売されるであろう公式本(?)を購入して、勉強なさってください。こちらのメモは、いつものように眉唾モノということで、ご勘弁のほど。

今回の講演(法話)は、仏教初心者には嬉しい内容だったのではないでしょうか。配布テキストの「修業道」に般若心経からの引用を随所に散りばめて、五道の修道論から最後は中観思想の要諦部分に踏み込んでいただき、短時間ながらなかなか充実感がありました。
ツォンカパのテキストが事前に指定されていたのがよかったのではないかと思います。ダラムサラで行われているレベルのティーチングにやや近い感じだったかな、という気がします。これからも、日本でこれぐらいの密度をもった話が聞けるといいなぁ。

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ダライ・ラマ法王来日法話 
「さとりへ導く三つの心と発菩提心」
■2009年10月31日(土) 午後2時~
■於: 東京・両国国技館
■配布テキスト『修行道の三要素(ラムツォナムスム)』


【法話の概要】

(最初に、般若心経を全員で唱和)
本日はツォンカパのテキスト(上記)にもとづき、「出離」「菩提心」「正しい見解(=空)」の三点について話す。

■般若心経の一節 「三世諸仏依般若波羅蜜多故、得阿ノク多羅三ミャク三菩提」
=過去・現在・未来の三世の諸仏がいかに悟りに至ったかについて述べている。

■悟りの境地は、いかにして得られるか?
→ 一時的条件にあらず、持続的な努力が必要。

■心経最後の真言でも、そのように説いている。
「ギャーテイギャーテイ波羅ギャーテイ波羅ソウギャーテイ菩提娑婆カ」
=「〔資糧道を〕行け、〔加行道を〕行け、彼岸に行け、悟りを成就せよ」の意味。
すなわち、徐々に修業の道を歩むことが必要。
 例・花の種: 花は、すぐ咲くわけではない。
   種から徐々に育てていき、最後に花を咲かせる。

■五道の説明
資糧道 (初心者レベル)
 ↓
加行道 (究極〔勝義菩提心〕を目指し始める)
 ↓
見道  (空の理解)
 ↓
修道  
 ↓   (見道から無学道に至る間に菩薩の十地を経由)
無学道

■悟りへ至る五道十地の中でも重要なのは、直接体験を通じて空を理解する智慧をはぐくむこと=智慧の完成 「般若波羅蜜多」

空を直感的に理解する智慧をはぐくんでいく過程で、煩悩と所知障を滅却し、方便の支えにより一切智、すなわち仏陀の境地に至る。
方便に支えられた智慧を獲得するためには、菩提心が必要であり、出離の心(輪廻から離れたいと願う心)が必要。
→ 悟りへ至るために必要な三要素: 出離、菩提心、智慧

■(三要素について説明する前に、一般の仏教話)
・21世紀の現代、苦しみが偏在し、次々と起きるのはなぜか。
苦しみは人間が自ら作り出している場合が多い。自分で作ろうとしているわけではないのに。
→ 二つの原因(無知と煩悩)による。
現代は煩悩で心が乱され、他者に関心をもたず、我欲ばかりが発達している状態。

・日本は物質文明の発展がめざましく、教育も発展しているのに、なぜ苦しみが絶えないか?
→ 自分と他者を分ける考え方による我欲の拡大で、苦しみが増している。

・心を乱す煩悩は、心や家庭の平和を壊すという点で、社会のみならず個人にも問題を作り出している。心が乱されれば、体も影響を受ける。体の構成要素・五元素も損ねて、健康も害する。心の乱れが免疫機能に影響を与えるという、科学者の報告もある。

・宗教を受け入れる人も受け入れない人もいるが、いずれも心の平和を望んでいるのは同じ。
心の中に平和を築くことは大切。物質文明は体に快適をもたらすうえで役立っているが、心の平和は物資的な発展のみでは達成できないとわかってきた。
→ 心の平和を意図して築く努力の重要性。
外的条件に頼っていては、心の平和を得ることはできない。心の平和を高める因の条件を増やす努力を自ら行うこと。

・心の平和を損なう感情の原因の一例: 自分と他人を区別すること
他人を自分の外側の遠い存在として放っておき、自我意識のみを大切にすることにより、様々な紛争が生じている。
→ 自・他の境界を無くせば、好ましくない感情もなくなっていく。他者も自分と同じように好ましい存在と感じれば、マイナスの感情も発生しない。
→ そのために、菩提心をはぐくもう。
自分ばかりを主張するのが不幸の根源になることを、自覚せよ。
他者を自分と同じくらい愛しいと思えるように、努力せよ。
すべての他者を慈しむ心を育てよ(発菩提心)。
さすれば心の平和、社会の平和がもたらされる。

・世俗のレベルにおける、愛をはぐくむ重要性の認識について
(去年の講演と要点はほぼ同じなので略)


(続く)
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by epea | 2009-11-01 00:55 | 仏教関連
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