いつか行きましょう




もう、ラサへは行きたくない。
もう、ラサは見たくない。

写真家・野田雅也氏のスライドを見て、あらためてそう思ってしまった。

旧市街の古いアパート、一軒一軒の窓から垂れ下がる五星紅旗。
赤い横断幕を持たされて、行進させられている僧侶達。
ラサ郊外に広がる、ビバリーヒルズを上っ面だけ真似たような安っぽい邸宅の列。

今、あそこにあるのは、「中国のラサ」。
「チベットのラサ」は、なくなってしまったんだ。

諸行無常。


亡命先のインド・ダラムサラでは、法王が子供たちに向かい
「我々は帰るという目的があって今ここにいるのだ」 
とおっしゃった、という。
あれら数々の写真の示す事実を十分にご承知のうえで、
子供たちの希望だけは消すまい、としておられる?

悔しい。悲しい。悔しい、悲しい、悔しい、悲しい、悔しい、悲しい……
かの地の人々に、いったいどれほどの痛み、苦しみ、屈辱、忍従を…………

……などと歯噛みしてしまうのは、私が凡夫ゆえ、曇っていて歪んでいて、
限られた視野でしか、観音菩薩の化身の心を想像できないから?
(もとより凡人には想像しえない領域のものであったとしても)


祈ることしかできない、真剣に、祈ることしか。


最近ベトナムから帰ってきた人が言っていた。
アジアはだめだ、汚染が進んでる。
五輪の終わった北京は分厚いスモッグに覆われた街に戻っている。
香港の空にも、大陸の汚れた大気が流れ込んでいて、
かつて「100万ドルの夜景」と唄われた面影もすっかり薄れ、きたない。
ハノイもホーチミンシティも、スモッグが酷い。

度重なる核実験に汚染されたまま放置されているチベット高原は、
アジア全域をうるおす四大河川の源。
近年は、砂漠化の進むヤルツァンポ川流域で生じたとおぼしき黄砂が、
香港や日本にまで飛来しているのが観測されている、とか。


もう、ラサへは行かない。
もう、ラサは見ない。

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追記。
暗いことをアップして、ごめんなさい。
「もう行かない」と書いたけれど、いつか行きましょう。

もちろん、「いつか」ではなく「今」行ける人は、どんどん行ってください。
そして、レポートしてください。

頭を使って、賢い方法を考え出さなければね。
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by epea | 2008-10-25 22:35 | 日常雑記
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