昨日福岡から戻ってきたのですが、どこかで風邪を拾ったようです、不覚にも。
今日は朦朧としていたので、法王様の英語に意識を集中しました(本日は終始、英語でお話しになりました)。よって以下のごく大雑把なメモは、マリアさんの丁寧な日本語訳とは多少、離れているかもしれません。ご了承ください。 ****************** ダライ・ラマ法王来日講演 「心の本質は光 ~ よみがえれ美しき日本の心 めざそう世界貢献」 主催: 時輪塾 【全体の流れ】 開会 1. 司会者挨拶 2. 法王入場、メディアによる photo op. 3. 法王講演 4. 質疑応答 5. 主催者 会計報告 6. 法王への花束贈呈 7. 法王よりカタ返礼 閉会 【法王 講演内容】 ・(ナーガルジュナの中論・最後の帰敬偈、正しい教えを説く仏陀への礼拝) ・私たち個人個人は誰もが、幸せを築くための大きな潜在力を持っている。 家族の幸せはコミュニティの幸せにつながり、ひいては世界の幸せにつながっていく。 つまり、人類全体の人間性(humanity)は、個人個人の貢献から成っている。 すべての変化は個人レベルから始まっていくものだ。 ・そうした観点からも、私の考えをこの場で、大勢の個々人たる皆様と分かち合えるのは嬉しい。 (主催者への謝辞) ■盲信せず、己自身で検証せよ ・私は特別な人間ではない。ナーランダ僧院の伝統を引き継ぐ、ただの一僧侶にすぎない。 私に、超能力や奇跡の類いを期待するのはナンセンス。 また、いわゆる「ヒーリング」にも懐疑的だ。 ヒーリングを標榜するような人は、むしろ危険と思うこと。心の弱みにつけこまれないように。 (「ヒーリング・パワーがあったら胆石手術なんかせずに自分で治してるよ、ワッハッハ」) ・仏教徒としてできることは、 調査・研究(investigation) および 論理に基づく推論(reasoning) による、事実の追求である。 したがって、むしろ科学に近い、といえる。 ・釈尊の弟子への言葉: 「仏教徒には、自らの力で調査・研究する自由がある(liberty to investigate)」 皆さんも、私の言うことを盲信しないで欲しい。 私の発言を、自分自身で精査して、検証して欲しい。 なぜなら、私もまた単なる僧侶であり、ナーガルジュナの弟子に過ぎないのだから。 *********************************** 以下、二つのセクションに分けて話す。 1. 人間の心や精神の作用について (世俗の観点から) 2. 人間の心の本質について (仏教の観点から) *********************************** 1. 心の作用/感情 について ・あらゆる生物は、肉体と心の二つのレベルにおいて、幸せを求めている。 ・人間に関していえば、今世紀において、物質面では一定のレベルに達している、といえる。 だが依然として、著しい貧富の差が(社会の中であれ、国家間であれ)存在する。 自由世界においては法律によって機会の平等が保証されている、という建前はあるものの、 実態として、貧しい人々は弱い立場に立たされて、機会を逸し続けている。 例) 法王が福岡で会った、バングラデシュからの女生徒の話 「日本では、毎日、朝が来て、幸せに暮らすことが当たり前のことと受け止められている。 バングラデシュでは、そうではない。4歳の少女が物乞いをしている姿を見て、悲しくなった」 ところが、「今日と同じく無事に明日の朝が迎えられる」のが当然となっているはずの日本で、 多くの人々(特に若者)が、ストレスや鬱など、精神的な不幸に見舞われている → 精神の幸福は、物質の発展のみでは得られないことの証拠。 ■精神レベルの困難は、物質レベルでは解決できない。 精神状態は、物質的な構成要素から成り立っているわけではないのだから。 例) 花の色を変えるには? 花の構成要素の中でも、色を支配する要素(化学組成etc)が変わらなければ、花の色も変わらない。物質レベルの変化は、物質を構成する微粒子レベルの変化によってもたらされる。 ・同様に、精神レベルの問題を変えるには、精神レベル内の要素を変えなければならない。 -怒り・憎しみを取りのぞくには? 自分の中に、その対象への思いやり・親切心をはぐくむしかない。(瞑想するだけでは不十分) -恐れを取りのぞくには? 自分の中に、その対象への信頼を築くしかない。 そのためには、恐れの原因を調査し、それが恐れるに足らないとわかれば、あるいは対処法がわかれば、恐れを取り除くことができる。 ⇒ したがって、精神レベルにおいてどのような要素が有益か、吟味する必要がある。 ■感情の影響 ・精神における要素(感情の種類) -有益な感情(helpful emotion): 慈愛、静寂 -有害な感情(harmful emotion): 怒り、憎しみ、嫉妬、恐れ 現代西洋医学においても、思いやりや心の平穏が免疫力の向上をもたらし、恒常的に怒りや憎しみを感じつづけていると免疫力がダウンする、といった結果が報告されている(米科学者の研究)。 → 感情は、肉体と精神の両レベルにおいて影響が大きい。 -好ましい感情(favorable emotion): 好ましいものをひきつける 生きていくうえで助けになるものを自分に引き寄せようとして、生じる -好ましくない感情(unfavorable emotion): 好ましくないものをひきはなす 生きていくうえで害をなすものを自分からとり除こうとして、生じる どちらの感情も、生物学的な要請により人間に備わっている。 怒りによって、自分に害をなすものを遠ざけるのは、生きていくうえである程度は必要。 だが、極端な感情は、それ自体が害悪となる。 例) 敵とは: 特定の対象が、永遠に敵であり続けることはない。 輪廻転生の観点からすれば、今生の敵が来世以降もずっと敵であり続けるわけではない。 また、今生においても、条件・環境が変われば、明日にでも敵ではなくなるかもしれない。 → もはや敵ではないかもしれない対象に、敵意を抱きつづけることは、かえって自分に害をなす。健康を害し、物事を正しく見ることを阻むから。 例) 法王がストックホルムで会った、米科学者の話 「怒りや憎しみに満ちた人々は、対象を100%ネガティブなものとして捉えてしまう。だがそのうち90%のネガティブな感情は、その人の心の投影(mental projection)に過ぎない」 → 仏教経典でも、同じように説く一節がある。 「破壊的な感情に支配されると、現実を正しく見る能力が阻まれる」 誰もがトラブルを求めていないのにトラブルが発生するのは、感情に支配されることによって、現実を適切に見ることができず、問題への対処法が非現実的になっているから。 ⇒ 感情の危険性: 感情は限度を超えると害をなすことを、しっかり認識しておくように。 (続く)
by epea
| 2008-11-06 22:22
| 仏教関連
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