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在日チベット人主催 ロサルの会

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昨日2/28(土)午後に、新宿・常圓寺で在日チベット人の方々主催のロサルがありました。
在日チベット人の会の新年度会長ケルサンさん、ダライ・ラマ法王代表日本事務所所長のラクパさんから、ご挨拶やチベット、ラサの現状についてのお話がありました。
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続いて、宗派を超えてチベットの平和を祈念する僧侶の会の小林秀英師からもお話がありました。僧侶の会の方々の会合には一度出てみたいと思いながらも日程がなかなか合わなかったため、小林師のお名前は昨年よりネット上で頻繁にお見かけしていたものの、お話を伺ったのは今回が初めてでした。中国によるチベット併合の有効性について、独特の視点から問いただすという面白いお話だったので、ここにメモさせていただきます。

17か条協定の有効性について、「印璽」の観点から問い質す by 小林秀英師

・「印璽」とは、平たくいえば「国家の印鑑」である。
(epea 注・ウェブの国語辞書を見ると「天皇の印鑑」という説明もありますが、日本国の印鑑のみを指す言葉として限定されているわけではないと思います。英訳するとthe royal seal, the state sealで、まさしく「国家の印」「国家元首の印」)

・1911年の辛亥革命の後、ダライ・ラマ法王13世によって、チベットの独立宣言がなされた。それまでは、チベット国発行の声明文では、冒頭が「清国の命により……」となっていたものが、この独立宣言文では「釈尊の命により……」となっているなど、清朝の影響をできるだけ排除しようという意思が感じられる文書となっている。

・1950年 中国、チベットへ侵攻
1951年 17か条協定への調印

17か条協定とは、北京を訪れたチベット代表団が中国政府より「署名しないければ即刻ラサに武力侵攻する」という脅迫を受けて、軟禁状態でチベット中央政府と連絡もとれないまま、やむをえず調印させられたという、チベット側に圧倒的に不利な協定。
この時、チベット代表団はあくまで使節にすぎず、中央政府や法王に代わる権限を与えられていたわけではなく、当然ながら、チベット国家の印璽などは持っていなかった。署名も、あくまで個人としての署名を行ったのみである。

そこで中国政府は、北京で無理やりチベットの印璽を作らせて、押印させた。
チベット側「全権」の署名捺印、原本の写真 (偽造された印璽によって調印されたもの)
⇒ これは現代でいう「印鑑偽造」に他ならず、当然ながら「契約無効」である

・現代の法治国家では、印鑑偽造などの犯罪は警察による取り締まりを受ける。
だが皮肉にも国際社会では、国家間において公正な裁判が行えず、正当な権利を保障してくれる執行機関がないのが実情である
⇒ そういう中で、日本は何ができるか?

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  (↑ 上の写真のリンク先は、キルティ僧院僧侶の自殺を報じるパユル記事。 
  ラクパさんからも説明がありましたが、
  「焼身しながら命がけで訴えている、燃えている僧侶の体を銃で撃つ」って……)


・かつてガンジーは、"Do or Die"と呼びかけ、植民地支配に対抗して立ち上がるようにと、インドの人々を促した。
現在はサムドゥン・リンポチェ首相が、"Do and Die"、すなわち「抵抗運動を起こせ」と呼びかけており、それに応えるかたちで内地ではチベット人が次々と立ち上がり、亡くなっている
⇒ せめて日本では犠牲になった人々を追悼し、そしてできれば可能な範囲で国力を行使して、たとえば「印鑑偽造による法律文書には正当性がない」といった発言をおこなってもよいのではないか

・ダライ・ラマ法王13世の治世には、チベットの近代化に尽力した僧侶ツァロン師がいたが、政権闘争に敗れて失墜。後、チベットは中国の侵攻を受けることとなった
⇒ 日本も、できるうちにできることをやっておくほうがよいだろう

(小林師による講話は、以上。)

昼の読経の後は、おいしいデシとバター茶をいただいた後、キャンドルライティングで追悼のお祈りがありました。
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上は、会社帰りに都内の公園で蝋燭を灯して祈りを捧げる行をほとんど毎晩、一年以上続けておられるキャンドルおじさん(実は素敵なお兄さん)による、キャンドルライティング。
下は、噂のCandle Juneさんによるライティング。初めて見たのですが、美しくて迫力があり、驚きました。
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昨夜は事情により、すみませんが私は夕方のお祈りが終わった後に失礼させていただきました。帰り際にお寺の門の出口で、キャンドルライティングを準備している様子を眺めている女性がいました。「きれいですよねぇ」と声をかけたら、「何をやっていらっしゃるの?」と尋ねられたので、ここぞとばかりに説明。「今週はチベットの暦で新年にあたるのですけれど、昨年、チベットで大勢の人が亡くなられて・・・(と相手の顔色を見ながら細心の注意を払って言葉を選びつつ)・・・で、追悼のお祈りをやっているのですよ。」 ……だいじょうぶ、だいじょうぶ、引かれてない。
最後に、「よかったら、近くでご覧になっていかれませんか?」といったら、「そうねぇ、本当にきれいだわ……」といいながら、お寺の境内に入っていらっしゃいました。
よっしゃーーー! 1名ゲット!?(笑)

美しいものって、いいですねぇ。力がある。
昨年のコンサートの時にも感じましたが、直感的に「素晴らしい」と感じられるものを媒介にすると、抵抗なく受けとっていただけるようです。

■ねこみみさんによるphoto report
いつもながら、プロレベルのお仕事をありがとうございます。
by epea | 2009-03-01 10:49 | チベット・中国関連
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