2009/3/31 (火)夜に行われた講演会のメモです。
元ファイナンシャル・タイムス紙記者として東京支局に勤めていたハーニーさんは妙齢のアメリカ人女性で、日本語が超ペラペラ。「講演は日本語で行われます」と告知されていたけれど、本当に演者が日本語で話すとは思っていなかった(通訳がつくのかと思っていた)、しかもごく自然なイントネーションでお話しになるので、驚きました。 日本駐在の後、2003年以降は杭州に赴任して、中国南部を担当。よって、中国語もペラペラだそうです。 現在はFTを辞めて、香港を拠点にフリーで活躍なさっています。 中国の製造業界、労働問題を長年取材した成果が『The China Price』(『中国貧困絶望工場』の原書名)。 ****************************************** 『中国貧困絶望工場』の著者、アレクサンドラ・ハーニー氏講演会 ■日本経済と中国経済は、もはや切り離して語れない ■「環境問題・労働問題・食の安全」への理解が重要 ■China Price とは、2004年にビジネスウィーク誌が使い始めた言葉。 中国の価格競争力は、規模において絶大で世界に莫大な影響を与えているという点で、過去に輸出で発展を遂げて「脅威」と言われた各国事例と比べてもユニーク。 ■なぜ China Cost は、かくも安いのか? 安い賃金のみではない、中国の競争力を支える3つの要因: 1. 労働/環境関連法の機能不全 2. 旺盛な勤労意欲(個人が豊かになることを強く希望し、健康が壊れても働く) 3. (日本を含む)世界各国の企業による、中国企業への強い圧力 ・中国の労働法はアメリカの同法と比べて労働条件がはるかに厳しい内容だが、遵法性は低い。中国の工場の8割は法を守っていない。 ただし、これは工場主側の都合だけでなく、出稼ぎ労働者側の希望でもある。 (少しでも多く稼ぎたいため、あえて勤務時間の最も長い工場での勤務を希望する人々が多い) ⇒ 表向きの「視察用のモデル工場/展示用工場/5つ星工場」と、 決して視察されない「黒い工場/影の工場」がある。 生産性は、当然ながら「黒い工場」の方が20~30%は高い。 今天工作不努力 (今日、一生懸命働かなければ) 明天努力伐工作 (明日、一生懸命仕事を探さなければならなくなる) (↑ 5文字目、本当は「手偏にバツ」の字) ・こうした工場の蔓延している背景には、原価抑制を求める諸外国からの圧力がある。 ■2つの重要な変化 1. 出稼ぎ労働者の意識の変化 2. 中国政府政策の変化 ・現在の出稼ぎ労働者の中心層には10代~20代が増えている。 彼らは、貧しい内陸部の農村を出て沿岸部に出稼ぎに出てきた第一世代の子供世代、いわば出稼ぎ第二世代。一人っ子政策施行後の世代でもあり、親から大切に育てられている。 ・政府はこのところ、労働関連法の制定に力を入れている。 だが、実際に工場視察を行う検査官の人数が圧倒的に不足しているなど、執行面でまだまだ不十分。 ・政府が法案への取組みを重視し始めている時流に伴い、工場長の意識にも変化が見られる。 「China Price だけではダメ。付加価値をつけたい」 「OEMより脱却し、自社ブランドを設立したい」 (続く) ************************** 参考: 「中国の問題は、中国だけの問題ではない」 インタビュー by NB(日経ビジネス)オンライン
by epea
| 2009-04-03 01:18
| チベット・中国関連
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